日経新聞は大学4年くらいからとり続けていると思う。
初めは定まっていなかった読み方も、いつからか、1面左の特集、論説委員の所見(今はDEEP INSIGHT)、私の履歴書、国内経済の順番になった。
あと2面にある、企業内部の緊迫したやりとりを書く記事(今は「迫真」というコーナー名)も面白い。
そんな型が定まってきたが、私の履歴書は、(私的に)面白い月と、興味を引かない月があるので、全く読まない場合も多い。
これまで面白かったと記憶に残っているのは、読売新聞ナベツネ、ジャパネットたかた高田さん、ニトリ似鳥さん、中嶋悟、ドラッガー、シマノ島野喜三、野中郁次郎。
こう振り返って見ると、
サラリーマン経営者も、私の履歴書に多く登場したと思うけど、あまり記憶残らないものだなぁ。
そんな私の履歴書の2025年4月はソニー元社長の平井一夫。
普段なら、「またサラリーマンの自慢話か」と、読み飛ばすかもしれないが、
2つのポイントで興味をそそられて、今のところ全部の回を読んでいる。
一つの興味は私の履歴書に登場する人物としては比較的若く、戦争の影響も見られなくなった1960〜1970年代の青春時代が描かれていること。
調布のアメリカンスクールに通学していて、その後の学友との交流や、アメリカの学校での苦労とか、リアリティある話だ。
戦中や戦後間もない時期の青春は、私の生きた日本の延長線上にある実感に乏しい。自分自身、日本人としてどうかとは思うが、正直なところ、そうだ。
もう一つはプレイステーションの話があること。私の世代的には、初代PSに携わった久多良木さんの話の方がドンピシャなのだが、久多良木氏に対する評価とか距離とか、平井さんというインサイダーから見た評価が面白い。
プレイステーションと言えば、最近、BS-TBS「X年後の関係者たち」でセガサターンを取り上げていて、セガの開発者がプレイステーションのことを語っていたが、これも面白かった。
セガサターン敗北(といっていいのかわからないが)の理由の一つが、プレイステーションのCM「ファイナルファンタジー7 始動」だったと言っていた。
プレイステーションか、セガサターンか、まだどちらが天下をとるのか、定まっていなかったこの時期(といっても僕の周りはPSだらけだったが)
発売予定がまだ1年も先の、数多あるソフトの中の一つについて、
ソフト会社ではなくハードメーカーがCMを打つ。
出演したセガの関係者が
当時のセガなら思いついたかもしれないが、実行はできなかっただろう、
それをやりきるソニーはすごい、
という振り返りをしていたが、本質をとらえていると思う。
セガで働いている人達は、自らが1番いいソフトを作れるという自信に満ちていた一方で、ソニーはいかにサードパーティに面白いソフトを作ってもらえるかに注力していた。実際、開発のしやすさも大きく違っていたとのことだ。
ちなみに、せがたさんしろうCMの裏話も面白かった。
コンペで博報堂が藤岡ひろし決め打ちでプレゼンしたこと(通常役者は後で決める前提の絵コンテを用いる)、
柔道家から一件だけクレームがあったこと(いきなり投げ飛ばす暴力的な描写に柔道を使うなという指摘)、
当時高校生だった僕にはピンとこない話も
今なら、なるほどね、と。
総じてみて、結果を知ってから言っても意味は薄いが、やはりセガはセガであって、天下はとれない、知る人ぞ知る、だったというカズレーザーの指摘に共感。