今ではパリ市民からも親しまれるシンボルの一つだが、
建築当初は、芸術家などから景観を乱すなどとして反対運動があったそうだ。
その結果、すぐに壊すから、ということでなんとか着工に漕ぎ着け、
完成後は約束通り10年で解体されるはずだった。
が、時代が戦争に突入していくと、軍事用アンテナ塔として
活用されることになり、解体を免れることに。
今でも、芸術家達は「今からでもエッフェル塔は解体すべき」と言うのだろうか?
「保護すべき景観」とはいったいどのようなものなのか。
現在の日本でも、街の景観を保護する、という活動にとりくんでいる人たちは多い。
行政の一分野であり、不動産投資にも関わるので、私も他人事ではない。
ただし、この問題は、いろいろな要素が複雑に絡み合っていて
何を理想とすべきか、判断は難しい。
絶対的な正解が存在しないことだけは間違いない。
先日、アカデミーヒルズの「東大教養シリーズ」というセミナーで
「時間がつくる建築の豊かさとは?」というものがあったので聴講してきた。
保護(そのままの形で文化財的に保存される)か
再開発(壊して違うものを建てる)か
しか選択肢がないが、ヨーロッパでは
リフォームを加え、用途を変えながら、再利用されている
ことが多く、日本でももっとこれを考えたらどうか、
というような話だった。
もちろん再利用が唯一解ではないし、
再開発をあまり否定的に言うのも好きではないけど、
色々な場所で議論が蓄積されることは大事だと思う。